運動と水分摂取量

その他

 最近はランニングをして運動をしている方も増えてきましたが、夏場は熱くて脱水しそう。水分はしっかりととらないととは思うけど、どれくらい飲めばいい?
 そんな疑問が浮かんだので、調べてみました。

なんで運動に水分が必要

 汗の機能には
1.保湿など皮膚の恒常性を保つ
2.体温調節(汗を皮膚で気化させて体温調節)
3.免疫
 があります1)

 汗には保湿成分があったり、免疫があったりと実は高性能で重要。その一方で、あせもになったり、気持ち悪いと嫌われているような傾向もありますが、肌の恒常性などを考えたら、とても重要です。

 運動では主に体温の調節、正確には体温を低下させるのに使われます。
 なので、体内の水分が少なくなる ➡ 脱水 ➡ 汗がかけなくなる ➡ 体温調節ができない ➡ 体温が上昇して熱中症となると考える事はでき、水分補給は重要であると予想がされます。
 実際に、飲水をすることにより体温が上昇が抑えられるという報告があります2)

必要な水分量に影響を与えるものは?

 運動における水分補給が体温調節には重要で、熱中症の対策になっていると考えると、熱中症になりやすい人はしっかりとした水分補給が必要ではと考えました。

 熱中症になりやすい人の情報を確認してみましょう。下記の内容がありました。3)

暑さ

 正確には気温だけではなく、WBGTという指標。同じ気温でも、湿度が高ければ辛いし、風が吹いていれば楽になりますよね。それらを加味した指標です。様々な文献をみてもWBGTを使った指標をで行っていまし、WBGTが上昇すると熱中症のリスクが上昇するようです。

肥満

 肥満度(体脂肪率やBMIでなく、肥満度です。算出方法はすこし複雑なので、調べてみてください。)が20%以上の人数が熱中症で死亡事故の約7割にのぼるとのこと。母数がないので、なんとも言えないところがありますが、学生のデータであり、学生の肥満率を考えると可能性は高いと考えます。

暑さへのなれ

 暑い中で運動を繰り返すと体が熱っさに対応していきます。これを暑熱順化といいます。
ですので、比較敵機涼しい時期の生活によっても影響があります。

その他には

 体調によって熱中症になりやすさが変わるようです

 これらより分かる通り、個人によって熱中症になりやすさはことなります。おそらくは汗の排出量なども異なりますし、同量でよいかは不明。

 あと、体の大きさによっても体に含まれる水分量が異なるので、どの体格に方でも同僚の水分量で良いかは疑問がありますし、ランニング学会の見解も2010年の段階では同様の意見があるようです4)

運動するときの水分摂取量は?

 調べてみた限りの水分摂取の方法を記載してみます。

①水分喪失量を調べて、その分の水分量を摂取する3・4)

 運動によって失った水分を服用すれば、良いのではと考えますね。

 汗などで水分を失ったら体重が減るのを利用して、運動前後の体重を測り、その差を計算し、運動の間に摂取した水分量を差し引いて測定します。運動した時間が1時間でなければ、1時間に換算して考えるとわかりやすいとされています。

 計算式としては、

 発汗量 = (体重減少量 + 飲水量) ÷ 走行時間(分)× 60(分)

 1時間あたりの水分喪失量 = (運動前の体重 ー 運動後の体重 + 飲水量)÷ 運動時間(時間)

 になり、発汗量=飲水量と考える方法ですので、どちらでも同じ水分摂取量となります。その失った量からどの程度摂取するのかは、目安は体重の減少を2%以内まで許容するのが主流のようです。
 ただ、初回はどの程度の水分を失っているかはわからないので、計測したことがない方は行うことはっできません。

②喉が乾いたら、自由に水分を摂取する3)

 体内の水分が減れば、水を飲みたくなるので、それあわせて飲水を行う方法になります。

 この方法であれば、体重の低下は一定でとなる報告もあります5)。また、他の報告では体内の2%以内の水分の喪失でおさまる事とされることが主流のようです3・4)。2%程度の水分量の喪失であれば大きな影響がないとされています。

 ただ、水分摂取間隔でも体重の変化への影響は、あとでまとめて飲水するよりも自由に飲水ができる環境が大切かもしれません6)

③1時間あたりの飲水量を400-800mLを目安に摂取。条件によって量を調節4)

 400~800mLを給水して下記の条件に応じて適量を選択する方法になります。

  体の大きなランナー、記録のよいエリートランナー、気温の高い場合など 
    多めの量 : 給水所でカップ半分以上(100〜150mL)

  体の小さいランナー、記録の遅い市民ランナー、気温の低い場合など 
    少なめの量 : 給水所でカップ半分以上(50〜100mL)

マラソンレース中の給水について記載した資料で確認できました。調節もできており、とてもよい一つの方法だと思います。

 ①の方法は実際に計測したのですが(計測した結果はこちら)、同じ条件であれば大きな変化はないため、定期的に運動をしている方はいいと思います。ですが、気温や湿度(計測はしていないですが、おそらくはWBGTの影響だとは思いますが・・・)が大きく変動していると、水分の必要量はかなり異なります。

 体液量が低下した状態では体温が上昇しやすい可能性もあるため7)、いずれの方法を用いても自由に飲水できる環境であれば、大きな影響がないとも考えられます。大切なのは水分摂取の制限や、飲水できない環境を作らず、自由に飲水ができる状態を作ることが大切だと思います。

 また、それを考えればどんなに短い時間の運動を行う場合でも水分は用意しておくのが良いですね。

何を飲めばいい?

 汗には塩分を含みますので、当然汗をかけば塩分も失われていきます。多くの資料は0.1%~0.2%のナトリウムを含む(100mL中に0.1~0.2gのナトリウムを含む)飲料を勧められています3)。ただ、暑さへの慣れ(暑熱順化)がすすめば汗に含まれるナトリウムの量が低下するので、正確には暑さに慣れに応じて必要なナトリウム量を調節するのがよいかもしれません7)

 糖分を含んだ法が有効とされていますが、その量に関しては様々な考えがあり含有量を指定するのは難しいようです4・7)

部活等で管理する方には・・・

 学校の部活やサークル、屋外の活動をする上で、管理する方には下記資料はとても秀逸であり、ぜひ一度は目を通しても損はないと感じました。ぜひ、確認してみてください。
 スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(JASPO)
 マラソンレース中の適切な水分補給について(ランニング学会)

 それ以外にも熱射病は運ばれた後の対処よりも運ばれる前の対処も重要になります。それについては後日また、記載したいと思います。

これを調べてみるのに注意点

 今回の調べてみて注意点として資料が古いというのがあります。資料の発表時期からして、おそらくは研究の全盛期が2010年あたりだったんだと思います。健康志向が高まり、現在は普段から運動習慣がある方が増えてきています。そういう意味でも、最新の水分摂取方法などが出てくれば思います。

参考資料
1)室田 浩之 意外な汗の免疫機能とその制御 アレルギー 2018:67(6);747-750
2)丹羽 健市 運動時の感児湯温度と飲水量・発汗量及び体温に関する実態調査 体力科学 1996: 45;151-158
3)JASPO スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック
4)ランニング学会 マラソンレース中の適切な水分補給について
5)運動時の発汗量と水分摂取量に及ぼす環境温度(WBGT)の影響 体力科学 1994; 43, 283-289
6)高取 直志 水分摂取感覚の違いが暑熱下運動中の体温調節藩王に与える影響 体力科学 2002; 51, 317-324
7)鷹股 亮 水分摂取による熱中症予防 その生理学的メカニズム 2004; 日生気誌; 41(1):55-59

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